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Vol.8
プライバシー権の制限 |
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私の住む住宅団地は1.000戸を超えます。最近、団地住人の高齢化が進み、犯罪が多発している為、自治会が安心・安全を守る為のプロジェクトチームを結成、私もメンバーの1人になっています。ところが、地域の安全を守る為の方策と、個人のプライバシー権が衝突し、作業は困難を極めました。
組織的な防犯体制を築く為には情報が必要で、一人暮らしの高齢者を見守る為には、連絡網も必要になります。しかし、「名前を出したくない」「電話番号を知られたくない」といった問題にぶつかります。又、生垣を刈り込んで通りからの見通しを良くすることで、窃盗の被害が少なく出来るのですが、「周りから見られたくない」と言います。更に生垣を刈り込み過ぎると、延焼防止の役に立たなくなるという問題も出て来ます。
現在でも日本国内の山間の集落、離れ小島等では、年間の犯罪発生が皆無というケースがあります。こうした地域の特性として、お互いの家庭の事情に精通していて、運命共同体としての連帯感があり、地域内から犯罪者を出さない仕組みが出来上がっています。又、他人がその地域に入るとかなり目立つ為、犯罪者も敬遠するという背景がある様です。半面、プライバシーは殆どないに等しく、村八分といった厳しい掟が設けられていたりします。
上記の例は極端なケースですが、プライバシーを優先するか、あるいは安全な社会を望むかを考える場合の本質がここにあるのです。安全な生活を守りたいのであれば、ある程度、プライバシーを犠牲にしなければならないと、私は考えます。一人で安心、安全を維持するには、建物の造りや警報装置など多くのコストを必要としますが、多数の目で見守る方法ですと費用がかかりません。
逆に思うのは、プライバシーの意識が昨今は極端に流れ過ぎていて、日常生活に不便さを感じさせる程です。宅配便のドライバーや知人を訪ねて来た人が、目的の家に表札が掲げられておらず、電話帳に番号の掲載もなければ近所の人も姓名を知らない為、困っていることがあります。
さて、あなたは安全とプライバシーのどちらを優先しますか。
両方を100%望むのは虫の良い話です。
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