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Vol.55
頭が悪い |
2019年12月04日 |
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1944年(昭和19年)2月に東京で生まれた私は、疎開先の千葉県の田舎町で小学校5年まで過ごし、6年生の春に東京へ戻りました。杉並区の小学校に転校した時のショックは今でも忘れられません。クラスメートが皆、優秀だったのです。
疎開先は利根川沿いの小さな町で、釣りや水泳、キノコ狩り、田んぼでのザリガニ・どじょう・とんぼ取り等々、遊びは四季折々、幾らでもありました。
父は町の助役として働き、母は畳工場を経営して共に多忙だった為、私は「勉強をしろ」と言われたことがありません。ですから、転校先の小学校で受けたカルチャーショックは尋常ではなかったのです。
翌年、中学校へ進むと山の手の住宅地から合流したクラスメートの優秀さに更に打ちのめされました。一流大学へ進学した生徒がクラスに何人もいたのです。
一般に頭が良い人と言われるタイプは3種類だと、私は勝手に解釈しています。①記憶力、②判断力、③発想力、④記憶力+判断力+発想力で、④が最強です。
私は記憶力、判断力共に頭の働きは平均以下だと今でも思っていて、これは謙遜でもなければ自分を卑下している訳でもありません。これまでの人生で、頭の悪さを思い知らされた事が数限りなくあるのです。
それでも調査の世界で仕事をして来られたのは、めげず、臆せず、常に前を向き、反省はしても後悔をしない生き方が支えになったからだと思っています。
振り返って見れば、一番勉強したのは大学時代で、恩師に恵まれて「何故?」と考える習性が身に付き、この「何故?」が私を前向きにさせ、助けてくれたのだと思います。
「天は二物を与えず」の言葉通り、誰もが持っている「一物」を大事に育てることが大切なのではないでしょうか。 |
了 |
菅谷 勝
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