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Vol.92
教育とは |
| 2025年11月6日 |
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私の父が旧制中学校に在学していた当時の話です。生物担当の進藤久松という先生が生徒に「松の名前を知る限り挙げよ」と言い、手を挙げた生徒が、「赤松・黒松・進藤久松」と答えて大爆笑となり、先生も苦笑いしていたそうです。
こんな長閑な時代の話はさて置き、私の中学校の料理教室で、私達の作ったサンマの塩焼きを校長先生が視察にきて、サンマの頭から尾ビレまで全て食べ、「骨が丈夫になるから皆さんも」と教えて下さいました。
高校時代には英語の先生が、「昨日映画を観た。ゲーリークーパーが、低いドスの利いた声で、フー アー ユウと言った。素晴らしかった」と話してくれました。
大学の法学の授業では教授が、「司法試験を目指すので無ければ、条文の丸暗記は必要が無い。必要に迫られたら六法全書を開けば済む。それよりも条文が何故制定されたか、何を言わんとしているかを考えよ」と教えて下さいました。
教科書の文面は忘れても、先生方のこうしたお話は不思議に覚えています。
教育の神髄は、子ども達が大人になった時に備え、最低限の知識と人生の荒波を乗り切る為の知恵と気力、体力を身に付けさせる事にある、と私は思います。その他の事は、子ども達の個々が自分の能力や興味を持った方向に努力し、教師や親がこれをサポートすれば良い訳で、型にはまった教科書だけの授業では、近年、問題とされているスタートアップ企業の乏しさは解決出来ないと考えます。
柔軟な発想力を身に付かせる為に、経験の少ない若い教師は歴史上のエピソード、ベテラン教師は自身の経験談を、教科書から離れて子ども達に語る必要があるのではないでしょうか。
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了 |
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菅谷 勝
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