|
|
|
Vol.10
愛とは・・・その1 |
|
|
〔47年前の『愛とは‥‥』〕
私が大学の法学部に入学したのは47年前。1年次の春に法律関係のサークルに加入し、新入部員歓迎会が箱根で行われました。その夜、サークルの顧問を務めて下さっていた先生が、新入部員に対し、「それぞれテーマを与えるので、4年後の卒業迄に答えを持って来る様に」とのお話。
ところが、テーマを与えられた新入部員は全員びっくり仰天。私の場合は「愛とは‥‥」でした。
〔4年間の悪戦苦闘〕
さあ、それからが大変。一流の哲学者でさえ難問と言えるテーマに取り組んだ訳ですから、最初は笑い話にもならない試行錯誤の連続でした。
それでも私なりになんとなく道筋が見えて来たのは1年を経過した頃で、「人間とは‥‥」から入って行かないと、答えらしきものは何も出て来ないと思いました。
普段の生活はと言うと、授業があり、サークル活動にも多大な時間を費やし、若干のアルバイトや趣味の釣り等もあって、週末に在宅していること自体が珍しいフル回転の毎日でした。
ところが与えられたテーマで悪戦苦闘するうちに、何事につけ「何故そうなのか」という視点から入って答えを探そうとする習性が自然に身に付いていました。
今から考えれば、先生が我々にテーマを与えて4年間考える様に指導して下さったのは、「何故そうなのか」と考える姿勢が大事だということを教えて下さったのだと思います。
〔4年後の答え〕
卒業前に私が先生に提出した「愛とは‥‥」のリポートは、B5版の用紙1枚に書いた次の様な図形だけで、説明は口頭で行いました。
中央の赤い円は各人が持っているエネルギーで、このエネルギーがどこに向かうかによって愛情をパターン化しているに過ぎない。「愛とは人間の持つエネルギーそのもの」というのが私の答えで、「ここ迄しか判りません」と申し上げました。
この図をしばらくご覧になっていた先生は、「君が4年間勉強して来たことは、卒業して10年たったら必ず役立つから」と言われました。その時は10年が何を意味するのか判りませんでしたが、後になって「なるほど」と感じることが多々ありました。
それは、大学を卒業する迄に学業と読書等で積み上げた知識に、卒業後の社会経験を加味することで、徐々に判断力、バランス感覚が身に付き、10年を経過した頃には、人生の方向性やカラーがほぼ形作られるという実感でした。
|
|
|
|
|