|
|
|
Vol.12
会社のエネルギー |
|
|
〔大手企業の後継者争い〕
私が30才代前半の頃、某大手企業で社長の交代劇がありました。正しく「劇」で、上層部が真っ二つに割れ、激しい後継者争いが演じられたのです。トップが凡庸であったり、経営の舵取りに失敗し、影響力を残せず退任する場合に、このようなケースが発生します。政治の世界も同様です。
さて、上記の後継者争いですが、正念場に差しかかると上層部は昼となく夜となく現状分析と作戦の為の打ち合わせに忙殺され、仕事そっちのけの有様。系列の中間管理職も浮き足立ちます。当時の私は、会社の業績面を考えると随分無駄な騒ぎに思え、もっとスッキリした仕組みが出来ないものかと思ったものです。
〔何事も人間の成せる業〕
しかし、40才代になってから見方が変わりました。それは無駄に見える争いでも、実はその企業の持つエネルギーが形を変えて表に出て来ただけで、このエネルギーが全体としては会社を成長させていく為の最大の要因と考える様になったからです。
社員の業績が評価されない会社、業績が低迷し将来性もない会社などでは、この様な激しい後継者争いは発生しにくいのではないでしょうか。会社の構成員は、各自の生活安定と仕事の夢やポスト獲得の為に働くのが普通です。将来性の高い会社であればある程、社員や役員の欲望も高まる訳で、これが千人単位の組織ともなれば、膨大な量のエネルギーとなって会社を動かします。
人間には皆、欲望が有り、迷いや誤解も有ります。その人間の集合体である会社にも当然様々な問題が発生する訳で、リスクマネージメントが課題とされるのもその為です。
人が3人集まれば派閥が出来、2人対1人になると言われます。まして会社の後継者争いともなれば、どちら側に付くかで運命も決まります。この争いから生じるロスは、会社として甘んじて受け容れなければならないケースだと思うのです。所詮、会社は人間の集まりなのですから。
|
|
|
|
|