|
|
|
Vol.3
家庭の役割、親の役割 |
|
|
〔プロローグ〕
ある地方に親子4人の家庭がありました。小さな一戸建の借家に両親と長女、長男の家族構成です。両親は無職、共に至って健康ですが、小学生の子供2人を抱えていながら全く働こうとしません。しかもある政党のルートを使い、不正に生活保護の認可を受け、昼間から夫婦で酒を飲んでいました。
妻は食事のおかずとして総菜屋からコロッケ、その他を買って来るものの、面倒なのかご飯を炊きません。ご飯の調達は小学生の長女と長男の役割です。2人の子供は毎日学校から帰ると、1人1個ずつどんぶりを手に近くの食堂へ行き、ご飯を買って自宅に向かうのです。
大事そうにどんぶりを抱えて帰る姉弟の姿を、近所の人は毎日見ては「先々ろくな育ち方はしないだろう」、と嘆いていたと言います。
〔10数年後〕
長女は社会人となり、長男は大学生になっていました。長女は化粧、服装が派手で、男性関係も乱脈。職場を転々として腰が落ち着かず、近所の人が予測した通りの育ち方をしました。長男は気の強い姉と違って、子供の頃から大人しい性格であったことが幸いした様で、しかも勉強好きであっ為、奨学金で大学まで進みました。素行の乱れもなく、真面目で素直な印象と言われています。
ところで、この大学生の長男をあなたの会社は採用しますか。又、長男が社会人となって後、あなたの娘さんとの間に結婚話が出た時、どうしますか。
〔総論と各論〕
総論や建前の部分では「本人次第」「子供に罪はない」等の判断から、OKする会社や親があると思います。しかし、人というのは総論賛成、各論反対が実に多いのです。
そこで問題になるのが「子供の人格形成に家庭環境がどの程度影響するのか」ということです。ここでは差別の問題とは別の次元で、事実としての人間のありようを考えてみたいと思います。
私共は調査の過程で、調査対象者が過去に事件を起こしていたことを、インターネット上で時々発見します。当時の新聞報道では「何不自由のない中流の円満な家庭に育った」という記事が実に多いのですが、実際に家庭環境を調べてみると、新聞記事と違って家庭が崩壊しているか、壊れかかっていたケースが圧倒的多数を占めていました。
〔バネの利く家庭・利かない家庭〕
皆さんの青春時代を思い出してみて下さい。何パーセントかの人はフラリと横道へ逸れかかった、或いは逸れた経験をお持ちではないでしょうか。
数万人の人生模様を見て来ますと、実に興味深いケースが多々あります。その中で青春時代に横道へ逸れかかった人が元のコースに戻れる場合と戻れない場合とで、共通の背景があるのです。
戻れる場合の共通項は、家庭が円満であること、戻れない場合は家庭が壊れているケースが実に多かったのです。戻れないケースの中には、子供の方が家庭を見放している場合もあります。家庭が明るく円満であれば、子供を呼び戻すバネが利くということです。
この場合の家庭は、経済力や教養の高さは殆ど関係がありません。飽くまでも明るく円満であることがポイントになっています。
〔明るく円満な家庭とは〕
家庭内の問題として、子供に対する甘やかし、干渉過多、育児放棄、躾不足その他、様々な問題が指摘されています。核家族化が進み、生活の知恵を備えたおじいさん、おばあさんの出番がなく、家の中に怖い存在の家族がいないケースも多い様です。家庭の形は様々ですから、個々の問題は各々の家庭で家族が知恵を出し合い、解決して行くしか方法はないでしょう。
但し、明るく円満な家庭を築き、横道へ逸れかかった子供を引き戻すバネを作る唯一普遍の手段があります。それは夫婦仲を良くすること、この一点に尽きます。家にお金がなくても、父母に学歴がなくても、明るく賢い両親が仲良くしていれば、子供は安心して巣に帰って来るものです。
|
|
|
|
|