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Vol.41 無縁死 |
2016年06月22日 |
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親、きょうだい、親戚その他、誰一人、相談したり助けてくれる人がいない環境の中で孤独死する問題を、NHKが放送しました。
その中でキャスターが「昔の人間関係に戻るには?」と質問したところ、評論家が「封建社会の人間関係には戻れない」と答えていました。しかし、これは論理が飛躍し過ぎており、視点も全くずれた答えだと、私は感じました。
無縁死、孤独死は、国家組織の制度に問題がある訳ではなく、人と人との横のつながりに問題があって生じる現象なのです。
孤独死には様々な要因が考えられます。@昔に比べて人が遠隔地へ簡単に移動し、その移動先には友人、知人がいない。A過労死、共働きに代表される如く、社会全体が生活に追われ、時間や気持ちに余裕が無い。B不況が原因で貧富の差が広がり、失業者が増大して経済的に追い詰められる。C少子化で助け合う親族がいない。D個人主義やプライバシーの意識過剰で、人間関係が希薄になった。Eアパート、マンションが増え、生活の様子が見えない。F結婚しない男女が増え、一人暮らしが多くなる。ざっと考えただけでも、これだけの要因が出て来ます。どの要因も深刻な問題ばかりで、しかも今後、この流れは更に強くなる可能性が高いのです。
こうした流れに少しでも歯止めをかける方法があるとすれば、それは地域住人がお互いに挨拶を交わし、情報交換したり助け合うことで、温かいコミュニティを作ることだと思います。個人主義の先進国・フランスのパリでは、2012年の熱波で一人暮らしの老人が多数死亡しました。パリの行政当局は遺体の引き取りを子どもに依頼したところ、次々と拒絶され、愕然としたそうです。
日本の社会も今、自分達がどのレベルにいるのかを真剣に考える時期に差し掛かっています。
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了 |
菅谷 勝 |
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