|
|
|
Vol.21
[会社は誰のためにあるのか] |
|
|
昨今、「会社は誰の為にあるのか」というテーマ論争が起きていますが、問題を絞り込めば、「株主」と「社員」のどちらを優先するかが、論争のポイントかと思います。
会社は出資者を得て初めて事業を起こせる訳で、その意味では株主が高い配当を要求することもうなずけます。
それでは配当を得る為の利益を上げ、拡大を続ける会社の条件は何かと言うと、技術開発力、新しい生産設備、経営陣の能力、社員の意欲等が挙げられます。ところが、株主からは時として「研究開発費や設備投資費を削って、株主への配当を多くして欲しい」という要求が為されます。
会社、特にメーカーは、中・長期的な経営戦略の下に利益拡大と会社の規模拡大を計るのが普通です。これに対し、投資家は総じて目先の利益確保の為に動くケースが多いのです。事業を立ち上げる際の株主の立場は強くても、事業がスタートしてからは利益を生み出す役員や社員を大事にしなければ、毎期利益を継続計上することは出来なくなります。
言葉を変えれば、会社立ち上げの際は、役員や社員が株主からの出資という恩恵を受け、会社のスタート後は、株主が役員や社員の働きによる配当という恩恵を受けます。会社のスタート時とスタート後では、主役が入れ替わるのです。
会社は金、人、設備、技術で成り立っています。会社がスタートしてからは、役員や社員が知恵を絞り、汗を流して設備を稼動させ、技術を磨き、利益を生み出します。
真面目に社会正義に則って行う事業活動から得られる利益は自ずと適正な巾があり、無理をすると事業活動のリズムを狂わせ、会社を破綻させる原因にもなりかねません。実動部隊の社員を株主や役員が大事にすることで、初めて長期的な安定配当と株価の上昇という実を手に出来ると考えます。ギャンブル性の強い相場への投資と会社の株主になることとは基本的に異なるのです。
|
|
|
|
|