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Vol.13
文明とは何か |
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人間は猿から進化したが、人間らしくなったと言っても、最初の人類は動物を狩り、植物を採取して生活する完全な消費社会であったと想像出来ます。その時代は生命維持の為、一日の大半を食糧採取に費やしたことでしょう。
ところが、人類は動物を家畜とし、穀物を育てたりして、食糧の生産体制を整えたことにより、余暇が生じた。その結果、精神的な余裕が生まれ、余った時間をより快適な生活を送る為の方策に振り向けたのではないでしょうか。
私は人類の文明がこの時点でスタートしたと考えており、人類史上最初の革命であったと思っています。
その後、産業革命や様々な発明、発見により、今日では宇宙旅行も現実化しようとしています。又、音楽、絵画、文学等の芸術や各種スポーツも進化しました。
今回、文明を考える上で、乱暴かもしれませんが、私は二つのカテゴリーに分類しようと思います。
一つは芸術・スポーツ・食生活、医療の分野で、芸術は人間の精神性を高め、スポーツ・食生活、医療の進化は寿命を伸ばし、共に人間にとってプラス材料です。二つ目は人間の外観を美しく見せようとするファッション、より高機能を目指す生活用品、事務機器、更に時間短縮競争に走る交通手段等です。
問題は二つ目の分野です。洗濯機、掃除機、冷蔵庫は女性にとって救いの神でしょうし、テレビ、ゲーム機は娯楽の最たる物です。
私自身、こうした文明の恩恵を受けていることを承知の上でここに書くのですが、人間はどこまで物の機能を高め、時間を短縮すれば気が済むのでしょうか。
私は終点が無いのではないかと考えます。人間は万物の霊長と誰が言ったか知りませんが、このまま猛スピードで進めば、人類が破滅することは多くの人が感じていることです。
地球上の生き物は体重に比例してエネルギーを消費していますが、現代人は一人当たり、象1頭の50倍のエネルギーを消費しているそうです。仮に人間の平均体重を65kg、象の平均体重を4,000kgとしますと、象は人間の約62倍の体重がありますから、62×50=3,100となります。人間は自然界の動物に比べて、3,100倍のエネルギーを消費している計算になります。
温暖化が叫ばれているにもかかわらず、CO2排出の筆頭格である国々が、温暖化防止対策に二の足を踏み、核保有国が核を保有したまま、他国の新たな核開発を潰そうとする。
私は、人間はあまり利口ではないと考えています。特に国家組織を形作った場合は、戦争に代表される如く、エゴむき出しになり、救い難い状況になることが多いのです。
文明とは一体何なのか。
人間の作り出した文明が人間の能力をはるかに超えて先走りしている現状を、どう考えたら良いのか。
文明という皮を人間から一枚一枚剥ぎ取ってみれば、そこには考える力を無くし、弱体化した肉体が残るだけ、という未来の人間像が見える様な気がしてなりません。
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