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Vol.5
如何に考えるか |
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〔哲学とは‥‥〕
私が大学に入学したのは46年前、遠い昔のことになりました。入学式が済み、ガイダンスが終わって最初の哲学の授業。鶴の様に痩せた、見るからに哲学者然とした老齢の教授が現われ、第一声。
「君達もいずれは結婚するだろう。すると夫婦ゲンカが起こる。それでも若い内は同じ布団で一晩過ごせば翌日は仲直り出来る。しかし、私の様な年令になるとそれが難しくなる。これから1年間、君達に哲学を教えるが、どうすれば夫婦ゲンカを防げるかを考えるのも哲学です。とにかく考えることが大事。」
私はこの話に大変な衝撃を受けました。
〔ダイヤモンドはただの石〕
その後の4年間、様々なことを私なりに考えましたが、気づいたことの一つに「ダイヤモンドはただの石」という問題がありました。これは原始時代に人類が必要としていなかったダイヤモンドは単なる石に過ぎなかったが、現代では宝石の中のキングの地位を占めています。
では、何故評価が高まったのかと言うと、他の宝石に比べて人間のダイヤモンドに対する欲望というエネルギーが最も多く注がれた結果であって、物の価値は最初からあるものではないという論旨です。
今回、これをテーマに一文を書き上げたところ、当社のスタッフから「ベルギーのダイヤモンドに関するホームページに、同じ様な内容の文章がある」と指摘されました。私としては41年前に大学を卒業する前から展開している持論であって、「ベルギーのホームページの方が後だ」と思うのですが、結局諦め、原稿を没にしました。
〔何事にも?を〕
ダイヤモンドは勿論、宝石として優れた素質があり、だからこそ人類がキングの地位にまで価値を高めた訳ですが、最初からキングの地位を認め、受け容れてしまうのと、何故キングになったかを考えるのとでは大きな差があります。更に宝石の素質にまで考えが及べば、尚、差は大きくなります。現在あるものをそのまま受け容れるだけでは物事の本質を見抜けませんし、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットの情報に疑問を抱く能力も身に付きません。
哲学では専門的な立場から見た難解な言葉が並べられていますが、要は物事の全てに「何故?」と思う習性を身に付けることが必要です。
「何故、あの人は私の悪口を言うのか」。「何故、上司から注意されたのか」。
感情を害したり、反発したりする前に、「何故?」をワンクッション入れることで、必ずやあなたの人生は厚みと深みを増します。
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