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Vol.70 Wanted
2023年05月15日
Wanted(お尋ね者)・・・・その1
  ハリウッド映画の西部劇では、犯罪者の似顔絵と共に賞金の額が書かれた張り紙に、「Wanted 」と表示されています。アメリカの西部開拓時代は1860年~1890年とされ、一方、日本の江戸時代は1600年~1868年ですから、丁度江戸時代が終わるころからアメリカの西部開拓時代が始まった事になります。
 さて、その江戸時代に行なわれていた犯罪者追及の立て札ですが、テレビや映画では人相書きとして、絵師による似顔絵が描かれています。しかし、実際は「御尋ね者」として人相書きは顔の特徴を細かく文章で説明していただけで、顔は描かれていなかったと言われます。
 江戸時代が終わってから、たかだか約250年。私たちが知らない事が随分あります。私の好きな時代劇の鬼平犯科帳に度々出てくる「火付盗賊改方」の看板は飽くまでもドラマ用で、当時の大名や役所の建物に看板を掲げる事は無かったそうです。そして、念の為に付け加えれば、鬼平こと長谷川平蔵は架空の人物です。

 Wanted(お尋ね者)・・・・その2
 アメリカの「Wanted」、日本の「御尋ね者」当時に比べ、現代社会の犯罪捜査では防犯カメラが重要な役割を担う様になっています。
 2020年の調査では、防犯カメラの設置台数が中国2億台、アメリカ5千万台、ロシア1350万台、ドイツ520万台、イギリスと日本が共に500万台となっています。近年の防犯カメラ台数はハイペースで増加しているので、現在はもっと多い筈です。
 犯人の逃走経路を防犯カメラで追い、車の逃走経路を道路のライブカメラで追う。犯人逮捕のきっかけとして、現在最も多いのは警察官による職務質問で、防犯カメラは2番目とされていますが、数年後には防犯カメラがトップになると私は想像しています。
 防犯カメラの設置について、プライバシーを理由に反対する人もいますが、昨今の集団強盗犯による傷害や殺人事件、「誰でもいいから人を殺したかった」、「人を殺して死刑になりたかった」、あるいは回転寿司店等で度を越したいたずらを行う等、必ずしも精神障害とは言えない事件が多発している現状を見ていると、犯罪の予防と犯人逮捕には間違いなく防犯カメラが切り札として必要なアイテムになると思います。
 近代国家の中で最も安全な国と評価されてきた日本も、他の国の後を追うことになるのでしょうか。低俗なテレビ番組や無責任で刺激的なネット情報、あるいは高度化、管理化された日常から生じる閉塞感等、原因は様々に考えられます。
 私は3年前から山の中の分譲地で生活しています。時々猿や猪を見かけ、毎日2~3回、20羽近く集まる雀に餌を与えています。妻は「町中の雀が集まったらどうするの」と騒いでいますが、最近思うのは自然豊かな環境の中で生活していると、これまで79年も生きて居ながら気付かされる事が実に多いのです。本来、人間も自然の一部なのだ、と。
 ですから、今の私の「Wanted」、「御尋ね者」の対象は「自然」です。
菅谷 勝




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