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Vol.46
咳をしても一人 |
2018年05月09日 |
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今回のタイトルは、俳人・尾崎放哉が残した類稀なる名句です。
私が30歳代の折、一族が集まった席で、幕末に中部地方の大名であった先祖の一代記を自費出版する話が持ち上がりました。結局、その役割を父が引き受けることになり、膨大な資料の整理と原稿書きが私に回って来たのです。
そしてプロローグの冒頭の言葉に悩んでいましたが、正月に炬燵でぼんやりしていた際、「人は生まれ死ぬ」というフレーズが頭に浮かび、それから一気に伝記の執筆が進みました。
人は生まれる時も死ぬ時も一人、とよく言われます。人間社会はお互いに助け合わなければ生きて行けないのは事実ですが、物事を突き詰めて考えると、結局のところ自分一人に行き着くと私は思います。そして、その思いと覚悟を前提にして人間社会に身を置けば、健気に勉強に励む子供や、苦悩しながら働く大人達を優しく理解し、接する事が出来るのではないでしょうか。
私は天文学者の人生観がどの様なものか、以前から非常に興味を抱いています。人類が誕生して500万年、地球が誕生して46億年と言われる気の遠くなる様な時間の流れに比べると、人間の一生は80年余、1秒の何分の1になるのでしょうか。
ですから、何があっても「ケ・セラ・セラ」で対処しようと心がけています。 |
了 |
菅谷 勝 |
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