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Vol.47 想定外 |
2018年07月09日 |
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私が40歳代の頃、ある僧侶の講演会で聞いた話です。
東大を卒業して当時の農林省に就職したキャリア官僚が、関東近県へ視察に出かけた時のことです。
県庁の課長が水田地帯へ案内した折、このキャリア官僚が「あれは何ですか?」と指差した先を見て、案内役の課長は仰天したそうです。「まさか!」と思いながらも恐る恐る「あれはお米の稲です」と答えると、「あれが稲ですか」と反応したので、再び仰天したそうです。
私はこの話を聞いた際、以下の事を想定しました。 ① この人物は農業に関心を抱いて農林省に就職した訳ではない。 ② 子どもの頃から東大入学を目指して勉強ばかりの生活を送った。 ③ 家族と一緒にニュースを見たり、旅行やキャンプに出掛ける機会が少なかった。 ④ 恐らく自然に触れる機会の少ない住環境で育った。
近年、想定外という言葉がよく使われますが、課長にとっては正に想定外だ
ったのではないでしょうか。 |
了 |
菅谷 勝
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