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Vol.2 人生とは |
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私は大学4年の秋頃、自分なりに思い定めたことがありました。それは人生の最後、棺おけに片足を入れた時に後ろを振り返り、自分の辿った道に悔いはない、そうした人生を大学卒業後は送りたい、というものです。勿論、実体験の少ない21才の学生時代ですから、多分に観念的なものでした。
それから42年、自分自身の体験と調査という仕事を通して、累計数万人の人生を垣間見た経験から、改めて「人生とは」を考えてみました。
その結果、出た答えは人生を論じてもあまり意味はないというものでした。何故かと言えば、人生には答えが無く、点数も付けられないからです。
人の一生に数種類のパターンはありますが、当然のこととして100人いれば100通りの人生があります。その人の人生はその人だけのものであって、他人がとやかく言うべきものではないと思うのです。
映画やテレビ、小説等で、立志伝中の人物やドラマチックな人生が取り上げられたりします。しかし、往々にして人には光と影があります。世間からは功成り名を遂げたと評価された人でも、晩年は家族から見放され孤独死したケース、逆に世間の評判は悪くても、家族がその人を最後迄確り支えたケースなど、数多く見て来ました。
夫婦の間の問題が周囲から理解しづらいのと同様に、その人の一生はその人でなければ分からないことが多いのです。言い訳を一切せず、問題を全て自分で背負い込んで死んでいく人もいるのですから。
答えの無いのが人生であるならば、又、不完全な人間が躓いたり転んだりするのが人生であるならば、あとは自分の人生を振り返って、自分自身が納得出来るか出来ないか、それしか残らないのではないでしょうか。
そして、人生の終わりに出る答えは、至ってシンプルなものではないかと想像します。
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